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何を手にいれた? じゃなくて。

どれだけ笑って、どれだけ泣いたか。立ち止まって考える。

地域不明 隠し念仏

隠し念仏とはこの地に浄土真宗を広めた親鸞聖人が弟子、是信房が始めたとか何とか
要するに岩手のような過酷な環境下で、コミュニティの結束強化と、子どもの健やかな成長を願うためのものだったらしい

隠し念仏をやっている集落には一人「善智識(先生)」と呼ばれる人がいて、この人が隠し念仏の秘儀「オトリアゲ」を執り行う
七歳になった子どもは屏風を広げた仏間に座らされ、手を金剛合唱の形に組み、目を閉じ、息だけで「ナンマイダー」と唱える練習をする
この「ナンマイダー」という言葉をずーっと長く伸ばし、肺の空気がなくなって苦しくなった瞬間、善智識が「タスケタ!」と言って子どもの口を手のひらで押さえる
この瞬間、子どもの体内に仏が入り、その子はまことの仏教徒として「念仏組(秘密結社)」に入ることを許されるという

このオトリアゲの儀式にはいろいろ流派によって違いがある。「ナンマイダー」ではなく「タスケタマエ」と唱えるところもあるし、
ただ単に息が続かなくなるまで息を吐くだけ、というのもある。また、善智識がオトリアゲのクライマックスで唱える言葉も
「タスケタ!」ではなく「オタスケ!」であったりするようだ。また、県北のほうでは一晩の間子どもに一心不乱に念仏を唱えさせ、
その口から出た泡が金色になった瞬間、仏が体内に入ったと判定するそうだ

ちなみにこの秘密結社は『遠野物語』にも記述があり、神仏分離を進めていた戦前までは「犬切支丹」として弾圧にあったため、
この隠し念仏の信者達は自分を曹洞宗であると名乗る。が、たいていは隠れ浄土真宗であると思われる

無論のこと、この儀式のことは念仏組の人間以外には他言してはならない、と教えられるらしい